マンションの管理費や修繕積立金は一見すると大きな金額には見えませんが、収入がダウンしてしまったり他に大きな出費が続いてしまった時などは支払いができなくなる方も今の時代には多いそうです。
でも、仮に滞納に悪意がなくても一定期間の間に払うことができなければ全国どこのマンションでも法的な処置を取られてしまいます。
すぐに払えない場合にはどうなるのか?どの程度の猶予期間があるのか?詳しく紹介してみたいと思います。
もくじ
管理費や修繕積立金の滞納は何日まで許される?
通常は1ヶ月くらいですぐに厳しい対処をされることはありません、1ヶ月ならうっかり忘れて払い遅れる人もいるので特に問題にはなりませんが、問題は3ヶ月ほど遅れてしまうケースです。
厳しいマンションの場合には2ヶ月に達した時点ですぐに「返済計画書」を出すように文書で求めてくることもあります。(いつまでにどうやって払うかを詳しく文書で回答せよ というものです。)
「返済計画書」を求められるタイムリミットなどは管理組合によってケースバイケースですが、厳しいところなら滞納分が数万円でもすぐに計画書をちらつかせてくるところもありますし、滞納額が10万円など2桁に達したところで返済計画書を求めてくるケースもあります。
この計画書を出さずにいたら、いよいよ差し押さえの1つ手前にあたる「督促状」が届くことになり、それでもどうすることもできなければ、後は差し押さえられて競売で処分をされるのを見守るしかありません。
管理費や修繕積立金の滞納で給与差押えに
管理費や修繕積立金を払わず(払えず)に滞納を続けていると、まず最初にとられる手段は「給与の差し押さえ」になります。
給与の差し押さえになると全額を差し押さえられるイメージがあるかもしれませんが、生活費程度は残してもらえるのでたちまち食べていけなくなるという心配はありません。でも、それ以上に怖いのは銀行経由で会社にバレてしまうということです。
差し押さえの手続きをする際に、給与口座を利用している銀行から勤務先に対して「差し押さえの法的手続きの依頼を受けました」と伝えるそうですが、これがもとで勤務先に「なんかマンションで滞納してて給与を差し押さえられてるらしい」と噂が広まります。
噂が広まらなくても人事などには伝わる
仮に噂が広まらなくても総務や経理は人事などの経営陣と親密な関係にあるために、お金のトラブルを抱えている社員やパートなどの事はちくいち報告をするものです。
ここで問題となるのは、お金のトラブルを抱えた社員を会社は嫌うというもので、滞納だけでなく差し押さえなど起こしてしる事が知られれば左遷やもっともな理由でクビに持ち込まれることも珍しくはありません。
ここまで会社が厳しい対処をするのは会社としてのイメージダウンになるだけでなく、他の社員から借金をするようになるなど、社内の風紀を乱してしまう恐れが非常に高いからです。お金のトラブルを抱えたたった1人の社員のために優秀で辞めてほしくない他の社員やパートさんなどが退職することだけは何がなんでも避けたい気持ちがあるんです。
給与差し押さえがダメなら競売処分で強制退去に
給与の差し押さえができない場合には、管理組合は競売を申し立てすることができます。結論を言いますと競売にかけられてマンションを売られて滞納者は退去させらてしまいます。
ちなみに、落札した人は滞納分の管理費や修繕積立金を代わりに払わないといけませんが、その金銭的な負担を考慮しても安く買えるなら入札する価値は十分にあるんです。どうして滞納分を立て替え払いしてでも落札したい人がいるかと言うと「競売の仕組みが通常のオークションと違う」という点にあります。
競売入札では金額が上がっていくことはない
実は、競売入札の場合は入札できる金額は固定金額の1発勝負で、競争によってどんどん値上がりするようなことはありません。
しかも、人気がありそうな物件だと「どうせ高くなるだろう」と最初から入札を避ける人も出てくるため、もしも1人しか入札していなければいきなりその人の落札になりますし、その人の落札額が初めから最低入札額狙いできていた場合には常識では考えらえないような安値で買われてしまうんです。
競売で売られると多額のローンだけが残ることも
競売にかかって自分のマンションを奪われてもそれで借金がチャラになるわけではありません。ローンがない場合には管理費や修繕積立金の滞納分くらいはマンションの処分費用で十分に払えるはずですが、もしもマンションのローンが残っている場合には致命的です。
仮に、滞納分が 100万円あり、マンションのローンが1400万円残っていた場合、単純に払わないといけない負債は1500万円になります。ここでマンションが1500万円で売れればチャラになるので、マンションを失う代わりに返済からは解放されますが、競売の場合にはローン残高をカバーできるほどの値段がつくことはまずありえません。(最初に頭金を大きく払ってる場合は別ですが)
競売にかかったマンションは激安で処分される
マンションに限らず不動産の競売入札額の場合、スタート価格が非常に低くて「固定資産税相場額の3割程度」がスタート額となる。
それを逆手にとって、3割価格に1万円だけ上乗せした入札をしてくる人もいる。この場合、だれも他に入札してこなければ、一般に売りに出せば1000万円程度の価値があるマンションも300万円ちょっとで手にいれることができる。
これに未払いの管理費や修繕積立金を上乗せしたとしても、普通に中古物件とじて購入するよりも半値くらいになるのでほぼ間違いなくお得な買い物となる。
こうした購入方法はネットや書籍でも広まっているのでスタート価格に1万円で入札する人は実在します。
落札額は激安になるのでローンがあればローンが沢山残ることになり、住む家も失うことになる
管理組合はなるべく早く差し押さえしようと動く【その理由とは】
実は、管理組合が恐れていることが1つあります。それは住宅ローンの滞納によってローン会社や銀行が管理組合よりも先に差し押さえをしてしまうことです。先にやられてしまうと2番手はどうすることもできませんから「何が何でも先に差し押さえをしなくては」と焦るものです。
もちろん銀行などが差し押さえをしたとしても安心はできません。なぜなら管理組合が競売に入札をしてきて激安落札を狙うケースもあるからです。
この場合、他所の人に高額入札をされてしまうことを防ぐために、駐車場を長期工事に持ち込んで不便にさせたり、、エレベーターもわざと点検中や故障中として使い勝手を悪くして競売入札を避けたり、マンションの魅力そのものを落とすように仕組まれることもあります。
こうなるとホントに激安で買われてしまうおそれもあり、最悪の場合には、管理組合が知人に頼んで激安落札をした後に転売をして利益を出そうとすることだってありえます。
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